同性パートナーの悩み解消法PART5

 

今回は当事務所が実際に同性パートナーの方から相談をお受けする中でよく聞かれる

 

①お互いの財産はどうなるの?

②死後の生命保険を受け取れるの?

③扶養家族にはなれないの?

④病院などの医療施設で家族として扱ってもらえるの?

 

 という疑問に関する解決策のpart5です。

 

part1は養子縁組

同性パートナーのお悩み解消法(養子縁組編)

part2はパートナー契約書

同性パートナーのお悩み解消法(パートナー契約書編)

part3は遺言Ⅰ

同性パートナーのお悩み解消法(遺言編Ⅰ)

part4は遺言Ⅱでした。

同性パートナーのお悩み解消法(遺言編Ⅱ)

それぞれの方法によってのメリットとデメリットについて詳しく書いてあります。

よろしければこちらもご参考にしてみてください。

 

前回は自分が亡くなった後に自分の財産をどうしてほしいか書き残す方法として

(冒頭の質問の①②の答えですね)

自筆証書遺言

についてご説明しました。

 

自筆証書遺言は

  • 費用がかからない
  • 法的効力がある

遺言です。

しかし、

  • 書くのが大変
  • きちんと保管しないといけない

という不安要素もありました。

そこで、もっと安心できる確実な手段はないのかということで

今回は最強の遺言である

公正証書遺言 についてご説明します。

 

公正証書遺言とは

 

公正証書遺言とは「遺言者が、公証人の面前で、遺言の内容を口授し、それに基づいて、公証人が、遺言者の真意を正確に文章にまとめ、公正証書遺言として作成するもの」だそうです。(日本公証人連合会ホームページより)

分かりやすく言うと、公証役場で公証人に作ってもらう遺言です。

公証人さんに作ってもらうので前回の自筆証書遺言と違って、間違ってるので無効ということは起きませんし、公証役場で保管してくれるので失くしてしまって困ることもありません。

安全で確実、これが公正証書遺言です。

 

公証役場ってどこにあるの?

 

公正証書をつくることができる公証役場ですが、案外色々な場所にあります。

遺言はどの公証役場ででも作ることができます。

ただ、ご自身で全て手続きされる場合は何回か行くことになるので、通いやすい場所が良いかと思います。

日本公証人連合会ホームページで全国の公証役場一覧がありますので、見てみてください。

http://www.koshonin.gr.jp/list/

 

公正証書遺言の必要書類

 

公正証書遺言を作るのに必要な書類があります。

まずはこちらをご用意されてから訪問すると話がスムーズです。

  • ご本人の印鑑登録証明書
  • 財産を受け取る方の住民票
  • 残したい財産の資料

また、当日の立会として証人が2名必要です。

その方の「お名前」、「住所」、「生年月日」「職業」をメモしたものもご準備下さい。

 

公正証書の費用

 

公正証書のご相談で一番聞かれるのが「おいくらぐらいかかりますか?」です。

当然、気になりますよね。

でもそんな一番大事な質問に「○○円です」とお答えできないのが公正証書なんです。

というのも公正証書の手数料(当日公証役場に支払う費用)は

遺言の中身によって変わるのです!

マイホーム・銀行の口座・FX・生命保険などなど。

残したいものの金額を全て足していき、合計額が下の表の当てはまるところの金額が手数料となります。

 

【公証人役場手数料】

目的の価額)

(手数料)

100万円以下

5000円

100万円を超え200万円以下

7000円

200万円を超え500万円以下

11000円

500万円を超え1000万円以下

17000円

1000万円を超え3000万円以下

23000円

3000万円を超え5000万円以下

29000円

5000万円を超え1億円以下

43000円

 

これに遺言の場合は

全体の財産が1億円以下のときは、1万1000円がさらに追加されます。

あとは、出来上がった遺言書の枚数に応じて250円プラスされていきます。

 

公正証書のメリットデメリット

 

ここまで読んでいただいてお分かりと思いますが、公正証書のデメリットは

 

手間がかかる。

費用がかかる。

これに尽きます。

 

ただし、

紛失・偽造の危険がない

公証人が作るので無効になることがない。

安全&確実な遺言です。

 

専門家の有効性

 

費用はかかっても安心のために公正証書遺言を作ろう、となったとき。

「自分で作る」

「専門家に依頼する」

の2つの選択肢がでてきます。

 

公証役場は基本的に平日の9:00~17:00の対応です。

(実際はこれより短いと感じています)

遺言の完成までには何度か通うことになるでしょう。

お仕事をしながらだったり、専門用語がわからなかったりと時間的・精神的な負担は少なくありません。

 

また、遺言に慣れた弁護士さんや司法書士さんであってもLGBT事情に詳しいとは限りません。

実際に、私の経験では確かに有効な公正証書遺言だけれども、よくよく読んでイメージすると

実際に遺言を実行するときに

亡くなったパートナーのご遺族に対して

「はじめまして。私パートナの○○です。実は遺言を書いてもらってまして。財産は全て私のものになることになってますので皆さんハンコお願いします」

ということになりそうな遺言を見たことがあります。

もちろん、法律的にはなんの不備もありません。

一般的な相続の場合なら、なんの問題もないかもしれません。

ですが、セクシュアルマイノリティーの相続は気をつけたいポイントが結構あります。

ご本人達の回避したいシュチュエーションを想像できない方もおられると思います。

なので稀にこういう公正証書遺言があるのも事実です。

 

できればLGBTならではのご相談を多く経験している専門家へご依頼いただければと思います。

 

最後に

今回は当事務所が実際に同性パートナーの方から相談をお受けする中でよく聞かれる

①お互いの財産はどうなるの?

②死後の生命保険を受け取れるの?

という疑問に関する解決策の公正証書遺言について書きました。

 

次回は

④病院などの医療施設で家族として扱ってもらえるの?

について書こうと思います。

ご参考になれば幸いです。