同性パートナーの悩み解消法PART4
今回は当事務所が実際に同性パートナーの方から相談をお受けする中でよく聞かれる
①お互いの財産はどうなるの?
②死後の生命保険を受け取れるの?
③扶養家族にはなれないの?
④病院などの医療施設で家族として扱ってもらえるの?
という疑問に関する解決策のpart4です。
part1は養子縁組
part2はパートナー契約書
part3はもしもノート
でした。
それぞれの方法によってのメリットとデメリットについて詳しく書いてあります。
よろしければこちらもご参考にしてみてください。
遺言
さて、前回part3は「遺言」でした。
①お互いの財産はどうなるの?
②死後の生命保険を受け取れるの?
の部分の対策として
「私の貯金はパートナーにあげて」
「生命保険の受取をパートナーにしてほしい」
などと
自分の亡くなった後どうしてほしいかを書き残しておくものです。
ただし、残された人に遺言に書いたことを守ってもらうには
法的に認められた遺言であることが必要です。
民法第960条 遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。
つまり遺言が法律で決められたルールを守っているものでなくてはなりません。
遺言のルール
では、遺言にはどんなルールがあるのでしょう?
ルール1
自分で遺言の全部の文字を手書き。もちろん日付もフルネームも手書きした上で、ハンコを押す!
スマホ・パソコン・タブレット時代にこれは結構ツライですが、民法の第968条 「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」とあるので絶対です。
もちろん消えるボールペンもダメですので気をつけましょう。
ルール2
①間違ったときは、二重線で消して訂正印、上に正しい文字を書く。
②消したいときは二重線の上に訂正印
③加えたいたときは{を入れて書き入れる。さらに訂正印。
④更にどこか分かる部分に〇〇文字「削除」、「訂正」、「加入」と書いて、さらに署名!もちろん日付もフルネームも手書きした上で、ハンコを押す!
これも民法の第968条2項「自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。」とあります。
もはや、ややこし過ぎて難易度高すぎです。
しかも直したつもりでも間違っていたら無効と言われる可能性もあります。
全力で間違えないように気をつけるか、間違えたときは書き直すくらいがいいかもしれません。
ルール3
日付は正確に!
遺言書を作成した日を「〇年〇月〇日」と正確に書きます。
「〇年〇月」や「吉日」などはダメです。
きちんとした日付を自筆で書きましょう。
ルール4
2枚以上になったときは割り印を押す!
遺言書に限らず、重要な書類はワンセットであることを証明するためにホチキスで留めた上で、割り印を押しましょう。
なお、遺言書には全て同じ印鑑をご使用ください。
ルール5
遺言書の内容は具体的に!
遺言書に出てくる人物や財産は誰が見ても分かるぐらいに具体的に書きましょう。
人物の場合は「氏名」「生年月日」は書いておきましょう。
不動産の場合は「登記簿謄本」の記載通りに書くのが安全です。
預金や保険も特定できれば実際の手続きの際もスムーズになります。
自筆証書遺言のメリットデメリット
自筆証書遺言
法律のルールに従って、自分で書いた遺言のことを自筆証書遺言といいます。
自筆証書遺言のメリットは
①費用がかからない
誰に依頼するわけでもなく、自分で書けば費用は無料です。
②法的効力がある
法律のルールに従って書いたものなので、強制力があります。
異議を唱える人がいても遺言の効力が優先します。
※例外あり
自筆証書遺言のデメリットは
①書くのが大変
上に書いたルールを全てクリアするのは結構な労力です。
誰かのチェックもありませんので、ちゃんとルールをクリアしているかも少し不安です。
②きちんと保管しないといけない
折角書いた遺言も「なくしたり」「汚したり」「燃えたり」「破れたり」すると意味がありません。
置き場所にも悩みますね。
一生懸命作った遺言が「なくなった」「ルールを守れていなかった」となると大変です。
確実に安心できる手段はないのでしょうか?
実は、あるんです!
確実、安心な遺言とは「公正証書遺言」と言います。
聞いたことある方も多いのではないでしょうか?
長くなってきましたので 公正証書遺言については次回のブログでお話します。
お楽しみに!